甘口ピーナッツ

多めの写真やTwitterに書ききれないことを書く

「廃竜」とは何か? 〜キャラエピから読み解く「竜」と「龍」〜

 私が普段入り浸っているDiscord鯖「ワールドフリッパー総合」、そこの考察チャンネルでとある方がこんなことを言った。

『「廃竜」って何が「廃」なんだろうか?』

 うーん確かに深く考えたことないなあと思い、竜種について色々考えたり調べたりした結果、色々繋がったので書き記す。

 結論から言うなら、廃竜とは「人から忘れ去られ、魔族から信仰された竜存在」だ。そうとしか考えられない。

f:id:jimmy9609:20200622193318j:plain

システム上の「廃竜」

https://gamerch.com/worldflipper/entry/118755

ワーフリDiscord民に「エアフリの見本市」「光クリシロウ!?」「風速攻(速攻とは言っていない)」などと散々おもちゃにされた無料ゲーム攻略Wiki「Gamerch」。しかし彼らは過去イベントのログをきちんと残していた。偉いぞ!

ログの情報を整理すると、

  • ギルドは当初「未確認生命体」「正体不明のドラゴン」と呼称。
  • 廃竜の目的は「揺らぎの迷宮への侵入」。
  • 出現起因が掴めておらず、死体も残らない。
  • 各地でドラゴン被害が増加傾向にある。
  • ギルドが「廃竜」と命名した。

 辺りか。以下のキャラエピにもあるようにギルド側は既にドラゴンによる被害は把握している。にもかかわらず彼らを別物として扱うのは、彼らが既存の竜種体系に当てはまらないからだろうか。ギルドは何も知らないのか?私はそうは思わない。詳しくは後述する。

 揺らぎの迷宮を目指している、というのも妙だ。そもそも迷宮自体、「50年前に突然現れた」「奥は時空がゆがんでいる」「魔族や異世界人もそこから来る」などと不明な事だらけだ。「廃竜と揺らぎの迷宮には関係がある」辺りが落としどころだろう。

f:id:jimmy9609:20200622193331j:plain

そもそも「廃」とは?

「廃竜」という呼称はギルド考案のものだ。何か意味があるのだろうか。

 単語で検索すると、名詞としての「廃」以外にも動詞形である「廃する」でサジェストされるのでおとなしくそちらも参照する。機械は人より賢いので。

https://kotobank.jp/word/%E5%BB%83-598350

〘名〙 (動詞「すたる(廃)」の連用形の名詞化) 1. かつて盛んであったものが衰えてしまうこと。衰微すること。はやらなくなること。 2. 古くなって役に立たなくなること。価値のなくなること。またそのもの。

「廃」を名詞としてそのまま解釈したもの。「廃竜」の文言自体の解釈を考えるならこれだけを採用すれば良いが、動詞化した形も以下のように参照する。

〘自ラ五(四)〙「廃る」 1. 物事が衰えて行なわれなくなる。すたれる。 2. 人が傷や病気のため役に立たなくなったり、失われたりする。 3. 面目や名誉が失われる。 4. 捨てられる。放っておかれる。おっぽられる。

〘他ラ下二〙 「廃る」 1. 用いなくする。他のものに代えて、用いなくする。

〘自ラ下二〙 「廃る」 1. ⇒すたれる(廃)

上記を総合するに「衰え放棄される」「役に立たなくなる」「価値が無くなる」辺りが要素としてある。こう考えると「廃竜」という呼称はだいぶ散々な言いようだが、命名したギルドは何を考えて「廃」の一字を採用したんだろうか?

そもそも「役に立たない」という表現はヒト目線の表現だ。竜種の価値の失墜、ヒトが竜を「放棄」したとは一体どういうことだろうか?その最終段階にいるのが「廃竜」なのだろうか?

f:id:jimmy9609:20200622193352j:plain

キャラエピから把握する「竜」概念

「龍」「竜」に関係するキャラは、メインエピソード含め複数存在する。キャラエピソードなどで情報が出ているので、読んできた。そこからわかった情報を箇条書きでまとめ、コメントと共に書き記す。

[おどける子竜]ファフ

f:id:jimmy9609:20200622193404j:plain

  • 邪竜の一族。水属性だよね君?
  • ドラゴンには「仲間」という概念は薄い。
  • ドラゴンで人語を解するのは稀(ライトの反応から)。
  • ドラゴンは偉大な存在。

 超ゴ黎明期からお世話になっている火耐性ドラゴンくん。しかし正直よく分からない存在だ。表現をそのまま汲むなら「竜=ドラゴン」が成立する。人語を解さないのは雑魚の奴ら、人語を解するのは知性ある竜=偉大、ということか。

 また、人々がマスコットキャラとして扱うことから、ヒトは竜種を必ずしも嫌ってはいないということだろうか?事例が少なくて何とも言えないが、ファフとヒトの距離は正直近すぎる気もする。何か意味があるのだろうか

[蠱惑の召喚術師]ビアンカ

f:id:jimmy9609:20200622193624j:plain

  • 本名、ビアンカバルザレッティ
  • ドラゴンは使い魔として使役できる。
  • ドラゴンは意思疎通もできる事例がある。
  • ドラゴンは成長する。
  • アプロは「飛竜」。

 リーダーバフと遅延雑魚散らしの鬼、火版ミズチ。竜語を喋るアプロと会話出来ているのは、手に持つ魔導書のおかげか。ファフと同じく知性はあるが、人語を喋るほどには発達していないということだろう。

 また、「飛竜」について言及している現行唯一の存在。地を這うタイプは「地竜」とでも呼ぶのか?ともかくアプロを「ドラゴン」「飛竜」の両方で呼称したのでここでも「竜=ドラゴン」が成立する。

[ドラゴンを狩る者]アゼル

f:id:jimmy9609:20200622193649j:plain

  • ドラゴンは個体ごとに属性が異なる。
  • ドラゴン殺しには槍が最適。
  • 気高く美しい、「竜も人も通じ合える」と説くドラゴン(ラムス?)と顔見知り。

 火貫通でありながら狭すぎる特攻範囲のためほぼ採用されない不遇キャラ。風廃竜が来たらしっかり使ってやるからな。そんな彼はキャラエピ内でもしっかりドラゴン狩りをしていた。えらい。

 恐らくラムスである存在をドラゴンと呼称したのが気がかりだが、視覚的には「ドラゴン=竜」と「龍」は区別がつかない、ということか。

 同じく竜関係者のヒトであるリムニスも「槍」使いであるのは偶然の一致か、それとも。

[夢幻の雷龍]ラムス

f:id:jimmy9609:20200622193705j:plain

  • エンシェントドラゴンの一角。
  • 「竜」と「龍」は違う存在。在り方そのものが違う。
  • 二つは遠い眷属ではある。
  • 龍は食事を必要としない=既存の食物連鎖の中に居ない。
  • 死んでもまた同じ名前を持つ存在が世界のどこかに現れる。

 古き良きワンパンの友、雷スキルパ不朽の一角。龍種としての威厳を保ててる方。

 彼女のキャラエピで「竜」と「龍」には違いがあることが明言されている。これは大きい。そもそも龍種が古くから存在していることが示唆されており、使命を連綿と負い続けるのが「龍」、そうではないのが「竜=ドラゴン」ということかヴァーグナー、ラフマーノと属性が被っていないのも何か意図を感じる。

 そも「龍」である彼女が「竜と人と魔の融和」を説くのも何だか奇妙に感じたが、「龍」は既存の生態系の別枠から我々を俯瞰した上で、その視点から彼我の融和を考えているんだろう。目的までは確か語られていなかったが、古龍の使命たる「勇者の先導」と関係はあるのだろうか。

 竜も龍も6属性の縛りの中に存在している。そういう意味での「遠い眷属」だろうか。なら「廃竜」にも近いのだろうか。

 水着ラムス、待ってます(性癖尖りネズミ)

[獄炎の龍王]ヴァーグナー

f:id:jimmy9609:20200622193719j:plain

  • エンシェントドラゴンの一角。
  • 龍は偉大な存在。
  • 古龍は勇者を導く存在。曰く「龍は光の剣に集う。」
  • 龍の定めを「倦怠」「忌々しき定め」と表現。
  • 野良の雑魚ドラゴンを「龍を騙る虫ども」「誇りも知性も失いし哀れなトカゲ」と表現。ひどい。
  • ドラゴンは迷宮を目指している。
  • 廃竜は「龍であり龍で無きもの」「禁忌を侵す蛇」「龍の宿敵、本来ヒトには関わりのないもの」
  • ライトのことが好き。

 獄炎ツンデレ龍、パワフリゲロビドラゴン。龍種としての威厳を保ててない方。アビ6で凄いの貰っておいで。

 しかしキャラエピは上質だった、何しろ「廃竜」への言及を観測できる唯一のキャラエピである。内容は上記の通りだが、総合するに「ドラゴン≠龍」、「廃竜≒龍」が成り立つだろう

 廃竜が「龍の宿敵」とはどういうことか。龍が勇者サイドの存在とするなら、廃竜は魔族側の存在、と考えるのは安直が過ぎるか。しかしそれ以外の対立項も無いので、ここに落ち着けるほかない。「禁忌」とも言っているので「龍が重大な何かを侵すと廃竜となり対立する」と考えてよいだろう。重大な何かとは何だろう。

 素ドラゴンが誇りや知性を持ったらどうなる?と考えたが、その一例がファフや「邪竜の一族」なのだろう。ドラゴンにも幅がある、と見て良さそうだ。

[竜の守人]リムニス

f:id:jimmy9609:20200622193734j:plain

  • 昔の人間は竜を畏れていた。
  • 同時に竜は、守護すべき存在だった。
  • 竜が暴れるとギルドは討伐を依頼する。
  • 人が竜になる事例が存在する。怒りと力への欲求がそのトリガーである。

 本考察記事を書くに至らせた元凶、女たらしかとおもいきや完全にイケメン主人公ムーブ、ソーニャとズットモ一番槍。

 色々言いたいがまず「過去、竜が信仰の対象で守るべき存在だった」としている。なら今は?「竜は信仰の対象から外れ、守護すべき存在ではなくなった」、日本の近代化に伴う自然信仰の衰退と同じく、パルペブラ全土で竜種への信仰が薄れていったと考えてよいだろう。それに伴って竜が暴れだしたのは偶然だろうか?

 「人が竜になる」のは本当にどう扱ってよいか分からないほど重大な案件だと考えている。リムニスの妹が怒りをトリガーに暴走し竜に変容したと言うのなら、裏を返せばそれは「怒りの具現たるのが竜」ということになる。この考えに嵌まらない竜種もすでに存在するので、「そういう竜も存在する」辺りに留めたい。

[黄金の聖龍]ラフマーノ

f:id:jimmy9609:20200622193826j:plain f:id:jimmy9609:20200622193900j:plain

  • 龍は勇者に「刻印」を遺す。それは勇者の力を開放する鍵。
  • 自身を勇者の「餌」と自称。

 ストーリー7章中盤で登場した意味深古龍、やべーことを色々言って消えた。

 「勇者とは?」「ステラとは?」辺りの考察で死ぬほど擦られているが、「廃竜」に関する考察にはあまり重要性を持っていない。


 とりあえず以上である。他にも竜、龍、ドラゴンに言及するキャラがいたら知らせてほしい。音速で拝みに行く。

 なお、ミズチやカーラのキャラエピから「蛇」は魔族寄りの存在だと解釈しているが、リムニスのキャラエピをみると蛇型の龍種も存在することがわかるので、両者の線引きは微妙か。

f:id:jimmy9609:20200622193920j:plain

結論と考察

 以上から竜及び廃竜に関する情報を整理すると、

  • 揺らぎの迷宮を目標としている。
  • ギルドが命名したと言っているが、ヴァーグナーも同一の呼称を用いている(時系列不明)
  • 竜種は過去に信仰を集めていたが、最近はそれを失いつつある。
  • 竜種は最近暴走する傾向が見られ始めている。
  • 「廃」には「ヒトに放棄される」「価値が無いと見做される」という意味がある。
  • 「竜」は「ドラゴン」と近い意味があるが、「龍」とは一線を画す。一方で「廃竜」は「龍」と近しい存在であり「禁忌」を侵すことで龍と対立する存在になる。

 くらいだろうか。ここからはこれらを元にした、私の考察である。

竜種の暴走

 まず竜種の暴走だが、これは「ヒトからの信仰を失ったから」だと考えたい。過去に6属性に結び付く竜種、自然の象徴たる絶対的存在を畏れていたヒトはいつしか竜を制圧できる存在として認め、市民やギルドが「竜を討伐する」ことを選択できるようになった。その反動としてドラゴンはヒトの志向たる信仰を失い、根源にあり隠すべきだった怒りが表出し、結果として暴走している。

 逆に言えばヒトの信仰、関心はドラゴンを理性ある存在たらしめる鍵ではないか?その証左がファフである。彼は幼い竜でありながら高い知性を有している。それは酒場という「多くの人からの善性ある関心」がそれを基礎付けていると考えている。ビアンカが持つアプロの成長が鈍いのは、いくら大きな関心があろうとも一人の力には限界があり、大きな成長には至らないからだ。キャラエピ3ではそこにライトたちのアプロへの意志=信仰が介在したからこそ、あのような「竜」らしい働きが行えたのだ。

 では廃竜とは何か。すなわち「過去に信仰を集め大きくなりながら、信仰を失い暴走した竜種」という要素を持っていると考えたい。以前は大きな力を持っていたのにいつしか「廃れる」、ヒトから不要と見做され忘れられ、希薄な竜殻と根源たる怒りだけが残った存在である。死亡しても実体が残らないのは、思念のみが殻として顕現し襲い掛かっているからと考えたい。

 竜が力を発揮するには、信仰が必要である。竜は人々から信仰を失い力を失った。しかしここで疑問が表れる。「信仰を失った竜種が、なぜ揺らぎの迷宮を目指すのか」「そもそもそんな力はいったいどこから湧くのか」。いったい今の状態の竜種を誰が信仰し、力を与え、その状態をヴァーグナーが「禁忌」「龍の宿敵」と呼ぶに至ったのか。 f:id:jimmy9609:20200622195559j:plain

廃竜が犯した「禁忌」とは

 今回の考察の核心だが、ヒトから忘れ去られた末路わぬ竜に心を寄せ、迷宮に向かわせている存在を、私は「魔族」だと考えている「禁忌」とはすなわち、ヒト以外の存在からの信仰で力を得ることだ。そうすると、大体のことに説明が付く。

 ヴァーグナーの態度は明らかだ。龍種が「勇者を補佐する存在」だとするなら魔族に依った廃竜は正しく「敵」であり「禁忌に手を染めている」と言って過言ではない。信仰には多くの存在からの感情が必要だ。それによってより強い力を竜が発揮するのなら、総体として数の多い魔族が信仰者集団として相応しい。ヒトの守護者たる龍はそれを嫌悪する。

 竜の根源にある感情は怒りだ。彼らが自然に結びついているかは分からないが、6属性を彼らが帯びるとアゼルは言う。自然を竜が体現するというのならその怒りを鎮めようとし恵みを守護しようとするのは人の心として道理であり、魔法や科学技術で自然を制することが出来るのであればそれもまた道理だ。魔族は、その行き場のない自然の怒りを利用し、揺らぎの迷宮の向こうにいる自分たちの存在をドラゴンや廃竜に伝えている。竜種の一部が迷宮に向かっているのはこれが原因だ。

 ラムスの言う「竜と人の融和」という謳い文句も、竜が人の信仰で成り立つ、魔族がそれにとって代わろうとしているという考察を使うと具体性を帯びる。彼女の信念はつまり自然とヒトとの再調和であり、魔族の侵入を防ぐ鍵だと言える。ヒトが失った自然への信仰をいま一度思い起こすことで新たな廃竜の誕生を抑制し、勇者の目的である魔族打倒に寄与せんという意味ではないだろうか。

「廃竜」はいつから存在したか

 少し蛇足だが、結び付いたので言及する。ギルドが命名した「廃竜」という呼称をなぜヴァーグナーが当然のように使っていたのか、という疑問だ。同じ存在は既に少しずつ表れており、リムニスのキャラエピのように竜種が暴走する事例が過去に報告され「廃竜」とされていたのか。しかしそれでは呼称を付けるには弱いし、ヴァーグナーが知っていた理由たりえない。

 人々が忘れ去るほどの昔にも「廃竜」は観測され、龍種とヒトがそれを打倒していたのではないか。勇者ー魔族の争いは長きにわたる大戦であるし、無い話ではないだろう。しかしヒトはそれを絵空事と忘れ、ギルドの文献に残るのみとなり、同じ過ちを繰り返そうとしているのではないか。それを見てヴァーグナーは怒り使命を放棄しようとし、ラムスは繰り返すまいと融和を説く道を選んだのではないか。

f:id:jimmy9609:20200622195901j:plain f:id:jimmy9609:20200622195906j:plain

結論

 冒頭にも書いたが、「廃竜」とは過去に人々から信仰を集めながらも忘れられ、魔族の先兵と化した偽りの龍種である。揺らぎの迷宮の向こうにある信仰者の元に向かおうとしているのか、信仰者の意志を汲んで迷宮をこじ開けようとしているのかは定かではないが、廃竜はヒトを脅かす存在であり、勇者の敵である。幾度となく続く戦いの中で、「竜」という存在が持つ性質を利用して生み出された哀れな存在である。

 しかし彼らがどういう存在かも、どう対抗すべきかも、既に作中で龍たちが語っていた。考察すれば何もかもが語られていたではないか。つくづく良くできた作品だ。一生遊べる。サンキューワーフリ! f:id:jimmy9609:20200622195659j:plain