甘口ピーナッツ

多めの写真やTwitterに書ききれないことを書く

『神の亡霊 近代という物語』がメチャ名著だった話

はじめに

 読みました。メチャクチャ面白かったです。

 ……いやこんなコンクリートブロックみたいなデカ本捕まえて何を宣うのだと頭をはたかれそうだが、本当に面白かったんだ。詳細はいつか書くが、現状の所感を以下に書いていく。すげーぜ、この本。

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  • はじめに
  • 己の手で己を啓発すること
  • 教科横断的な内容
  • おれは必ず再読する
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アーマードコアの思い出と私の半生

初めに

 アーマードコアの新作が発売される。約10年、人生を見回しても長い部類に入るだろう、長い間が空いての新規タイトルだ。正直ACVDで過去作オマージュがドシドシ出てきていたのでこれが文字通り〝最後の評決〟なのだろうと腹を括り、しかしスタッフのインタビューを眺めると一様に「アーマードコアはいつかやりたい」と唱えているので踏ん切りがつかず、どうしたものかと思案していた昨今だった。燻る囲炉裏に薪を足しながら雨止みを待つような、帰らぬ主人に固執して屋敷を掃除する使用人のような、そんな宙ぶらりんな気持ちを胸に抱えたまま生涯を送るのは中々しんどいことなので、この望外の日を迎えられたことはとても幸福な、得難いことだろうと思う。

 この文章は、上のようなひねてこまっしゃくれたことを考えながらのうのうと生きていた末席の粗製レイヴンが、自分のアーマードコア体験を備忘録代わりに書き記すものである。当時の記憶のままに残すのが本義なので必要が無ければwikiなどは脇に置いておくし、記憶違いや時系列のズレはあると思う。そういった凸凹を眺めて「おお、凸凹しているなあ」と笑覧いただければ幸いだ。改めてになるがアーマードコアの新作、本当にめでたい。過去の私に一言言ってやりたい、あのくたびれた日の差す公民館の片隅で、小さなロムと黒い携帯機を手にしている私にだ。

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夢想/悪夢/白昼夢的に綺麗なオススメ漫画n選

はじめに

 表題の通り、白昼夢のような漫画を紹介していく。Twitterから来てくださった方、検索エンジンから辿り着いた方、そしていつも読んでくださる方にとって有益な記録だと良い。

  • はじめに
    • 白昼夢とは
  • 「グヤバノ・ホリデー」panpanya
    • 説得力のある白昼夢
  • 「シメジシミュレーション」つくみず
    • 夢裡をゆるく歩む少女たち
  • 「庭先案内」須藤真澄
    • めくるめく夢幻オムニバス
  • ヨコハマ買い出し紀行」芦名野ひとし
    • 人類の夢寐をのんびり過ごそうよ
  • 「おもいでエマノン鶴田謙二
    • 人類を夢解くフェリーの彼女
  • 「いえめぐり」ネルノダイスキ
  • 「本田鹿の子の本棚」佐藤将
    • 高熱の孤床で垣間見る悪夢絵巻
  • おわりに
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結局「科拳」は実在したのか? 中公新書から見る科挙感想文

はじめに

書いた動機

この記事は中公新書民明書房と、ご覧のスポンサーの提供でお送りします

詳しい動機

去る1月14日に行われた2023年度大学入学共通テスト、これの「世界史B」に問題訂正があった。誤りは2カ所、そのうち片方が、中国において過去に実施されていた官吏登用試験「科挙」を「科拳」と誤字をした、という内容である。受験生を中心に多くの人々が驚いたことだろう、私もそのうちの一人である。

科学の拳、二つ目の科挙、そんなものは寡聞にして知らない。書き文字ならこんな初歩的なミスは中学校の小テストで卒業するべきだろうし、そもそもどうやって予測変換で出したのか画像認識で取り込んだのか、などの疑問がインターネットを渦巻いていた。本当のことは何かと手繰っていると、奇妙な情報が流れてくることに気付いた。

 ―――科拳、実は存在するらしい―――

そんな胡乱な話があるわけがない、また悪いインターネットがまろび出ているぞ、何が科拳のエースだと思っていたが、どうにもおかしい。民明書房以外の出典を持ち出す人がいるではないか。しかも複数人。一体何が起きているんだ、もう既に術中なのか?などと考えていたこの辺りで、はたと気付く。思えば私自身も「科挙」について何も知らない、知らないことについては語ることはできないんじゃないか……?

そんな我らがヴィトゲンシュタインの導きに従って、いくつかの書籍を買い、読み漁った。その結果、色々なことを学ぶことが出来たので、なるほどなあと思った部分について本文の引用と共にまとめていく。内容としては大きく分けて二つ、

  • 科挙」というものについて
  • 「科拳」というものについて
  • 「漢字」という概念について

である。結論から言えば、科拳は無かったとは言い切れない気がしている。対戦よろしくお願いします。

  • はじめに
    • 書いた動機
    • 詳しい動機
  • 科挙 中国の試験地獄』 (中公新書) 宮崎市定
    • 最強の科挙
    • 全体を通しての「科挙
      • 六世紀末に生まれた社会制度
      • 合理的で不合理な
      • 因果応報の場
    • 「字を惜しむ」と書いて
    • 歴史の闇に葬られた「武」の科挙
    • 李徴という男の話
  • 『謎の漢字 - 由来と変遷を調べてみれば』 (中公新書) 笹原宏之
    • 地名にあるからJISに載る
    • 未知に触れるということ
    • 漢字から見る「科挙
  • 諸子百家儒家墨家道家・法家・兵家』 (中公新書) 湯浅 邦弘
  • おわりに
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彼が最初に守りたかったもの 〜ワーフリ世界観考察〜

はじめに

書きだし

 先日3周年を迎えたゲーム「ワールドフリッパー」。ピンボールを原型にしたゲーム性に大変力の入ったドットアニメーション、奥が深く深い世界観にそれを彩る魅力的なキャラクター群と、飽きの来ないタイトルだ。高い放置性にも助けられて細く長く続けられているし、たぶん永遠に遊べる。いつだってTwitterとDiscordで踊っていられる。

 すごくメチャクチャ勢いがあるぜ!嬉しいね!

 そんなワーフリだが、中々に難解な部分もある。作中の用語や概念の中には単語の表出や示唆に留まるものがいくつかあり、中には特定キャラの特定エピソードにしか出てこない語彙も見いだされたりして、大変苦しく大ッ変楽しい。底の見えないおもちゃ箱のようである。不明で雑多な状態はストレスであり、だからこそそこに理路を見出そうと試みる行為はそれだけでたいへん面白くまた尊いことだと思っている。

 ともあれ、ワーフリ内の用語や俗語をゲーム内で辞書的にまとめた「星見の図鑑」が1年ほど前に実装され(上の動画が2:33秒で全てを解説していてたいへん良い。他に挙げてらっしゃる動画も大変健康に良いのでぜひ観よう)、そういった不明な部分も少なくなった。キャラを引くたびに右上に「キーワードが追加されました」!という文字が躍るので、そこを見に行けば良い。整理された、明るい福利厚生である。うれしい。

 一方で、図鑑に書かれていない、意図的に省かれている物事も確かにあると強く感じている。章が進んだりキャラが追加されるたびに既存キャラの図鑑に段落が追加され、そのたびに気付いた方から阿鼻叫喚があがる。私もネタバレを避けて無言で倒れ伏しているのだが、この間の11章に合わせて追加されただろう諸々を眺めているうちに言えることが出てきたので、忘れないうちに書いていく。切り口はレシタール、彼は過去に一体何をしたのか、という考察だ。彼は大罪人なのか、それとも救世主なのか。

  • はじめに
    • 書きだし
    • ワーフリ黎明期の噂話
    • 死皇って誰だよ!?
    • チャルアが見せた異常
    • 考察の方向性
  • 情報列挙
    • 第1章『精霊の楽園』まとめ
      • 世界概要
      • 1-1 世界に降り立つ
      • 1-3 旅のはじまり
      • 4-1森の精霊
      • 4-3チャルア・チャルワ
      • 6-1 世界樹
      • 7-1 異変
      • 8-1 闇からの使者
      • 8-3不死の王
      • 8-4繋がる世界
      • ここまでのまとめ
    • 出身キャラクターエピ・星見の図鑑より
      • 風星3レシタール
      • 風星3チャルア
      • 水星3チャルア
      • 風星4カロ
      • 雷星3ホーニィ
      • 光星3モーラ
    • 粛清者討伐戦
      • 深淵より響く
      • 掴め、全ての子達よ。
    • 星見の図鑑より
  • 考察
    • 粛清者のうごきについて
    • シタールはなにをしたのか
    • チャルアのやくわり
    • あっけなくあいまいなオチ
    • フーダニット、ハウダニット、アンド?
    • 問い/考察主題の再定義
    • 結果から逆算する
    • 上位者のお仕事
    • 共同幻想と上位者の目的
    • 皆殺しの果てに
    • シタールの悔恨
    • 粛清者と不死者の違いは
    • シタールは何を〝している〟のか
    • 昏き蛇解く継人の祈り
    • 鉄鎖で縛り付けられた魂
    • チャルアの僥倖
    • 言葉と名前ある楽園
    • シタールが最後に見つけたもの
    • まとめ
    • 雑記、気になってること
  • おわりに
    • ワーフリは、いいよ!
    • 宣伝!
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